世帯分離で介護費用は安くなる?役所へ行く前に知っておくべき「落とし穴」と条件
- 15 時間前
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親の介護が現実味を帯びてくると、まず頭をよぎるのが「結局、月いくらかかるんだろう?」というお金の不安です。
施設費用、介護保険料、食費や部屋代……調べても情報が多くて、何が正解か分からなくなりがち。
そんな中でよく出てくるのが、「世帯分離をすると介護費用が安くなる」という話です。
でも、これは条件を外すと逆に負担が増えることもあるので、役所へ行く前に“落とし穴”だけは押さえておきましょう。
今回は、この「世帯分離で介護費用を抑える」という仕組みの真実と、安易に飛びつく前に絶対に確認してほしいポイントを、公的資料に沿って整理します。
今回のテーマ
世帯分離で介護費用はどう変わる?
住民税非課税の仕組みと、やる前に確認すべき重要チェックポイント
まず結論から
「世帯分離」をしたからといって、介護費用が“必ず”下がるわけではありません。
「分離すれば安くなる!」と思い込んでいる方が多いのですが、
実際は「安くなる人もいれば、変わらない人もいる。さらに別の負担が増えてトータルで損になる人もいる」というのが現実です。
制度自体は確かに存在します。
ただし、あなたの家族の状況という“条件”にピタリと当てはまったときに初めて節約につながるもの。
無理に当てはめると、かえって負担が増えることもあります。
世帯分離のメリットとデメリットを先に整理
「世帯分離=節約の裏ワザ」と見えるのは、たしかに一部は本当です。
でも現実は、“介護まわりが軽くなる可能性”と“別の負担が増える可能性”がセットで存在します。
【メリット(得になる可能性があるポイント)】
・介護保険料が下がる可能性:介護保険料は所得段階(区分)で決まるため、区分が変われば保険料が変わる可能性があります。
・高額介護サービス費の上限が下がる可能性:介護サービスの自己負担が高くなったときの月上限は、区分によって差があります。
・施設の食費・居住費が軽減される可能性(補足給付):ただし、配偶者(世帯分離していても)や預貯金などの要件が関わるため、「世帯分離したら自動でOK」ではありません。
【デメリット(落とし穴になりやすいポイント)】
・健康保険の扶養まわりの確認が増える可能性(最重要):世帯分離等で世帯が異なると、実態が同居でも照会結果上「別居/要同居」等として判定され、区分の訂正や書類提出が必要になるケースがあります。
実態が同居でなければ扶養解除となり得ます。
・手続き・管理の負担が増える:通知や申請が「親の世帯」単位で整理されるため、家族内での役割分担が必要になりやすいです。
・「分離したのに変わらない」ことも普通にある:世帯を分けても、所得・資産・配偶者要件などが変わらなければ、軽減に繋がらない場合があります。
つまり世帯分離は、「やれば得」ではなく、“条件が揃えば得、揃わなければ現状維持、揃わないのにやると損”になり得る手続きです。
1. そもそも「世帯分離」とは? 狙いは「住民税非課税」

【1-1. 世帯分離とは】
世帯分離とは、同じ家に住んでいながら、住民票上の「世帯」を分ける手続きのことです。
通常、同居家族は「同じお財布で生活しているチーム(同一世帯)」とみなされます。
これを役所に届け出て、「住所は同じだけど、お財布(生計)は別々のチームですよ」という形にするのが世帯分離です。
【1-2. なぜ世帯分離が介護費用に関係するの?】
狙いは、親御さんの扱いが「住民税非課税(世帯)」側に寄ることで、介護保険料や負担上限・軽減制度の区分が変わる可能性がある点です。
ただし、「年金暮らしなら自動的に非課税」とは限りません。
住民税が非課税になるかどうかは前年の所得等で判定され、基準は自治体が案内しています(扶養人数などで変わる場合があります)。
2. 「世帯分離」で介護費用が変わる3つのポイント

【2-1. ① 介護保険料(毎月の支払い)】
65歳以上(第1号被保険者)の介護保険料は、自治体ごとに「所得段階(ランク)」で決まります。
国の検討資料では、第9期(2024〜2026年度)に向けて、標準段階を「13段階」とする考え方が示されています(最終的な段階や保険料は自治体が条例で定めます)。厚生労働省|介護保険制度の概要 ※資料中「第1号被保険者の保険料」
【2-2. ② 高額介護サービス費(使いすぎた時の上限)】
介護サービスの自己負担が高額になった場合、月ごとに「これ以上は払わなくていいよ」という上限があります(高額介護サービス費)。
たとえば一般的な所得の方の負担限度額が「月額44,400円」と整理されている資料があります(区分によって上限は異なります)。厚生労働省|高額介護サービス費の負担限度額
【2-3. ③ 施設の「食費・部屋代」の軽減(補足給付)】
介護保険施設(特養・老健・介護医療院など)等では、介護費用とは別に「食費」「居住費」がかかります。
所得が低い方には、これを軽減する「補足給付(特定入所者介護サービス費)」という制度があります。
ここで重要なのは、補足給付の要件は「世帯分離したら自動でOK」ではないこと。
資料では、原則として「世帯全員(世帯を分離している配偶者を含む)が市町村民税非課税」であること、さらに預貯金等の基準があることが示されています。
3. 世帯分離には「デメリット」もある! 申請前の必須チェック

お金が安くなる話ばかりに目が行きがちですが、逆に「お金がかかってしまうリスク」も見落とせません。
【3-1. 健康保険の「扶養」への影響(最重要)】
親御さんをご自身の会社の健康保険(協会けんぽや組合健保)の扶養に入れている場合、世帯分離により“確認の手続き”が増えることがあります。
協会けんぽの案内では、世帯分離等で世帯が異なる場合、実態が同居であっても「別居」または「要同居」と判定されることがあり、区分の訂正や確認・提出が必要になる旨が示されています。
実態が同居でなければ扶養解除となり得ます。
(組合健保はルールが異なる場合もあるため、必ず加入先に確認してください。)日本年金機構|被扶養者認定の要件
【3-2. 手続きの手間と心理的負担】
窓口での手続きだけでなく、親御さんが認知症の場合などは、誰が手続きや管理を担うのか家族内での整理も必要です。
「お金のために家族を分けるのか」という心理的な抵抗感を持つ方もいるため、納得感も含めて判断することが大切です。
まとめ:後悔しないための手順
1)【自治体HPで確認】住民税非課税の基準は?
お住まいの自治体ページで「非課税になる所得基準(非課税限度額)」を確認してください。
2)【目的を明確に】どの介護費用を下げたい?
「介護保険料」なのか「高額介護サービス費」なのか「施設の食費・居住費(補足給付)」なのか。
補足給付狙いなら、配偶者(世帯分離していても)と預貯金等の要件も要チェックです。
3)【最重要】健康保険(協会けんぽ/健保組合)へ電話確認
「親と世帯分離をしても、扶養の扱いはどうなりますか?追加で必要な確認・書類はありますか?」
4)【最後に】役所へ相談
上のリスクが整理できたら、自信を持って窓口へ行きましょう。
介護費用は、制度の当てはまり方で家計への影響が大きく変わります。
でも、焦りは禁物。
「みんながやってるから」ではなく、「我が家の場合はトータルで得なのか?」を冷静に見極めるのが、賢い節約の第一歩です。
要点まとめ
・世帯分離は「介護費用が必ず下がる」手続きではない
・メリットが出やすいのは「介護保険料」「高額介護サービス費」「補足給付」など
・補足給付は「配偶者(世帯分離していても)+預貯金等」の要件がカギ
・最大の落とし穴は健康保険の扶養まわり:事前に加入先へ確認する
・役所へ行く前に「目的→自治体基準→扶養確認」の順でチェックすると失敗しにくい
参考資料(一次情報中心)
・厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」(一般的な所得:月額44,400円等)



