【2026年】成年後見制度の改正|親の後見は今すべきか・待つべきか判断チェックリスト
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「親の口座が凍結されて、成年後見を申し立てようと動き始めた。でも、テレビで“制度が変わる”というニュースを見て、手が止まってしまった――」
これは、認知症のお母さまを持つ50代女性が、実際にこぼした言葉です。2026年に成年後見制度の大きな改正が成立したことで、いま同じように迷っているご家族が急増しています。「今すぐ申し立てるべき? それとも、新しい制度を待った方が得なの?」
結論から言うと、答えは「あなたの今の状況次第」です。待った方がよい人もいれば、待つと危ないケースもあります。この記事では、2026年の成年後見制度の改正で何がどう変わるのかをやさしく整理したうえで、あなたが「今動くべきか、待てるか」を見分けるチェックリストまでご案内します。

そもそも「成年後見制度」って、いま何が起きているの?
成年後見制度は、認知症・知的障害・精神障害などで判断能力が十分でなくなった方に代わって、財産の管理や契約などを支える仕組みです。2000年にスタートしてから、25年以上にわたって多くの方を支えてきました。
一方で、「一度始めたら本人が亡くなるまで基本的にやめられない」「遺産分割のためだけに始めたのに、日常の財産管理まで全部任せることになる」といった使い勝手の悪さが、長く指摘されてきました。
これまで指摘されてきた3つの困りごと
途中でやめられない:目的(例:実家の売却)が済んでも、判断能力が回復しない限り利用が続く。
支援が「全部お任せ」になりがち:必要な一部だけ、という使い方がしにくい。
費用が続く:専門家が後見人になると、報酬が毎月かかり続ける(目安は月2〜6万円程度、本人の財産から支払い)。
こうした課題を受けて、2026年6月17日に制度を約26年ぶりに見直す改正民法が成立しました(同6月24日公布・令和8年法律第45号)。「制度が変わるらしい」とニュースになっているのは、この改正のことです。
2026年の成年後見制度の改正で、何がどう変わる?
今回の改正は、制度を「使いやすく、そして必要な期間だけ使える」ものへ作り変えるのが狙いです。生活の目線でかみくだくと、大きく次の3つです。
① 「途中でやめられる」ようになる(終身制の廃止)
実家の売却や遺産分割など、始めた目的が達成され、家庭裁判所が「もう必要ない」と認めた場合には、利用を終了できる仕組みが導入されます。これまでの「一生続く」から、必要な期間だけの利用へと変わります。
② 3つの類型を「補助」に一本化(オーダーメイド型へ)
これまで判断能力の程度に応じて「後見・保佐・補助」の3つに分かれていましたが、このうち後見と保佐を廃止して「補助」に一元化します。本人の状況に合わせて、必要な事項だけを支援する“オーダーメイド型”に近づきます。
③ 後見人を交代しやすくする
本人の生活状況が変わったときなどに、後見人を柔軟に選び直せるようになります。「合わない後見人から交代できない」という悩みへの手当てです。
⚠ ここが一番大切:まだ「使える」わけではありません
改正は成立しましたが、実際に新しい制度が使えるようになる「施行」はこれからです。施行は公布の日(2026年6月24日)から2年6か月を超えない範囲で政令で定める日とされ、遅くとも2028年12月ごろまでに施行される見込みです(具体的な日付は今後の政令で決まります)。運用の細かいルールもこれから定まります。つまり、いま「待つ」と決めても、すぐに新制度が使えるわけではない点に注意が必要です。
「待つ」と「今動く」、それぞれで何が起きる?
冒頭の女性が迷ったのは、まさにこの分かれ道です。それぞれを選んだとき、現実に何が起きるのかを整理します。
「新制度を待つ」を選ぶと
より柔軟で終わりのある制度を使える可能性がありますが、施行は遅くとも2028年12月ごろの見込み。それまで、凍結された口座からお金を動かせない、施設の入所契約が進められない、といった「今すぐ必要な手続き」は止まったままになります。差し迫った事情があるのに待つのは、リスクが大きい選択です。
「今、動く」を選ぶと
今の制度で申し立てれば、必要な手続きをすぐ前に進められます。申し立てから利用開始(審判)までは、多くのケースで2か月以内ですが、状況によってはもう少しかかることもあります。なお、いま利用している後見や、これから始める後見が、施行後にどう扱われるかは今後のルールで定まります。現在進行中の後見が、施行と同時にすぐ変わるわけではありません。

あなたはどっち? 今すべきか・待てるかの判断チェックリスト
下のリストで、当てはまる項目が多い方が、あなたの今の状況に近い選択です。あくまで目安として、迷いを整理するためにお使いください。
こんな方は「今、動く」を検討
親の口座が凍結され、生活費や医療費の支払いに今すぐ困っている。
施設の入所契約、不動産の売却、遺産分割など、期限のある手続きが迫っている。
親の判断能力がすでに大きく低下していて、契約や事前の対策がもう難しい。
財産管理をめぐって、トラブルや心配のきざしがある。
こんな方は「あわてず選択肢を検討」できる
今すぐ必要な、期限のある手続きは特にない。
親にまだ判断能力が残っている(任意後見や家族信託など、事前の備えも検討できる段階)。
目的が「特定の手続きだけ」とはっきりしていて、将来の柔軟な使い方を重視したい。
ポイントは、「今すぐ必要な手続きがあるかどうか」。差し迫った必要があるなら、改正を待たずに動くのが基本です。逆に、まだ親が元気で急ぎでないなら、任意後見や家族信託を含めて、じっくり選択肢を比べる時間があります。
迷ったら、まず相談を。そして親が元気な“今”できること
「今か、待つか」の判断は、ご家庭の事情によって本当に変わります。だからこそ、自己判断で止めてしまう前に、専門家や公的な窓口に一度相談するのがいちばんの近道です。
迷ったときの相談先
お住まいの市区町村の窓口・地域包括支援センター:制度の入口や、費用を助成する「成年後見制度利用支援事業」の相談ができます。
家庭裁判所:申し立ての手続きや必要書類について確認できます。
法テラス・弁護士・司法書士:申し立て書類の作成や、家族信託・任意後見との比較を相談できます。
そして、いちばん大切なのは、親が元気な“今”のうちに、家族で話しておくことです。判断能力が大きく低下してからでは、任意後見や家族信託といった「選べる選択肢」は使えなくなり、法定後見が中心になります。「もしものとき、お金と暮らしをどう支えるか」を今のうちに一度話しておくことが、いちばんの備えになります。
この記事のまとめ
2026年6月に改正民法が成立。制度は「途中で終われる・オーダーメイド型」へ変わる。
ただし施行は遅くとも2028年12月ごろの見込み。待っても、すぐには使えない。
口座凍結や期限のある手続きなど「今すぐ必要」があるなら、待たずに動くのが基本。
急ぎでなく親が元気なら、任意後見・家族信託も含めてじっくり比較できる。
迷ったら、市区町村の窓口・家庭裁判所・専門家へ。そして家族で早めに話しておく。
※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。改正民法の施行時期や具体的な運用は今後の政省令などで定まり、変わる可能性があります。費用や助成、手続きの詳細、ご家庭の状況に応じた最適な選択については、お住まいの自治体の窓口や家庭裁判所、弁護士・司法書士などの専門家にご確認ください。
📋 参考・参照情報
※掲載情報は執筆時点のものです。制度・数値は改定される場合がありますので、最新情報は各機関の公式サイトをご確認ください。



