知らないと損する福祉のお金の制度5選|申請しないともらえないお金まとめ
この記事で紹介する5つの制度
① 高額介護サービス費:払いすぎた介護費が戻る
② 高額療養費制度:払いすぎた医療費が戻る
③ 高額医療・高額介護合算療養費制度:医療と介護を合算して戻る
④ 負担限度額認定(特定入所者介護サービス費):施設の食費・部屋代が安くなる
⑤ 医療費控除:介護費・おむつ代で税金が戻る
① 高額介護サービス費:払いすぎた介護費が戻ってくる
介護保険のサービスを使うと、かかった費用の1〜3割を自己負担します。この1か月あたりの自己負担が一定の上限額を超えたとき、超えた分が後から払い戻されるのが「高額介護サービス費」です。デイサービスやヘルパー、施設の介護サービスなどが対象になります。
ただし、施設の食費・居住費、福祉用具の購入費・住宅改修費、要介護度ごとの支給限度額を超えて利用した分などは対象外です。
いくらが上限?(所得で変わります)
上限額は所得によって区分されています。代表的な区分は次のとおりです。
1か月あたりの自己負担上限(主な区分)
住民税が課税されている一般的な世帯:44,400円(世帯)
世帯全員が住民税非課税:24,600円(世帯)
世帯全員が住民税非課税で、前年の合計所得金額と公的年金等収入額の合計が一定以下の方など:24,600円(世帯)/15,000円(個人)
生活保護を受給している方など:15,000円(個人)
現役並みに所得が高い世帯:所得に応じて93,000円/140,100円(世帯)
たとえば一般的な課税世帯で、1か月の介護サービス自己負担が6万円かかった場合、上限の44,400円を超えた15,600円(60,000円−44,400円)が後から戻ってくる計算になります。
⚠ ここが大切:最初の申請を忘れずに
多くの市区町村では、初回に一度申請して口座を登録すれば、次回以降は該当すると自動的に振り込まれます。逆に、最初の申請をしないとずっと戻ってきません。対象になりそうなときは市区町村から案内が届くこともありますが、届かない場合もあるので、心当たりがあれば介護保険の窓口に確認しましょう。
申請先:お住まいの市区町村の介護保険担当窓口

② 高額療養費制度:払いすぎた医療費が戻ってくる
入院や手術で医療費が高額になったとき、1か月の自己負担が上限を超えた分が払い戻されるのが「高額療養費制度」です。介護と並行して医療もかかる高齢期には、特に知っておきたい制度です。
上限額は年齢と所得で決まります。一例として、70歳未満で年収約370万円以下の方の場合、1か月の上限はおよそ6万円台です。これを超えて払った分が戻ってきます。1年間に3回以上上限に達すると、4回目からはさらに上限が下がる「多数回該当」という仕組みもあります。
⚠ 制度が見直されています
高額療養費制度は2026年8月から自己負担の上限額が引き上げられました(施行済み)。一方で、長期療養者の負担を抑えるため、毎年8月〜翌年7月の12か月間の自己負担に上限を設ける「年間上限」が新設され、「多数回該当」の金額は据え置かれています。さらに2027年8月にも、所得区分を細かく分ける見直しが予定されています。上限額はご自身の年収区分や加入している健康保険によって変わるため、具体的な金額は加入先(協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険など)に確認するのが確実です。
入院前なら「限度額適用認定証」が便利
後から払い戻しを受ける方法のほかに、入院前に「限度額適用認定証」を用意しておけば、窓口での支払い自体を上限額までに抑えられます(マイナ保険証なら認定証がなくても対応できる場合があります)。いったん大金を立て替えずに済むので、入院が決まったら早めに準備しておくと安心です。
申請先:加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村の国民健康保険など)
③ 高額医療・高額介護合算療養費制度:医療と介護を合算して戻る
①と②は「医療」「介護」をそれぞれ別に計算する制度でした。それでもまだ負担が重い世帯のために、1年間の医療費と介護費を合算して、合計が上限を超えた分を払い戻すのが「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。
この制度のポイント
対象期間:毎年8月1日〜翌年7月31日の1年間
対象:同じ医療保険の世帯で、1年間に医療と介護の両方の自己負担があった方
上限額:年齢と所得で決まり、超えた分が医療・介護それぞれから払い戻される
「医療費も介護費も、どちらも1年間けっこうかかった」という世帯ほど効いてくる制度です。医療と介護を別々に見ていると気づきにくいので、1年を振り返って両方の負担が重かった年は、合算の対象にならないか確認してみてください。
申請先:7月31日時点で加入している医療保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度の方はお住まいの市区町村の窓口、会社の健康保険の方は加入先の健康保険)。会社の健康保険に申請する場合は、介護分の「自己負担額証明書」を市区町村の介護保険窓口で発行してもらいます。
④ 負担限度額認定:施設の食費・部屋代が安くなる
特別養護老人ホームなどの施設に入所したり、ショートステイを利用したりすると、介護サービス費のほかに食費と居住費(部屋代)がかかります。これが意外に大きな負担になりますが、所得や預貯金が一定以下の方は、申請によってこの食費・居住費が軽減されます。これが「負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)」です。
対象になりやすい方
世帯全員が住民税非課税であること(別世帯の配偶者も非課税であることが必要です)
預貯金などの資産が一定額以下であること(配偶者の分も含めて判定します)
対象は、特養・老健・介護医療院などへの入所や、ショートステイの食費・居住費
⚠ 認定証は毎年の更新が必要
この認定証の有効期限は毎年7月31日です。8月以降も軽減を受けるには、毎年更新の申請が必要で、多くの市区町村では例年6月頃に案内が届きます。更新を忘れると軽減が受けられなくなるので、案内が届いたら早めに手続きしましょう。対象になるかどうかの基準(所得・預貯金額)は細かく決められているため、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
申請先:お住まいの市区町村の介護保険担当窓口
⑤ 医療費控除:介護費・おむつ代で税金が戻る
1年間に支払った医療費が一定額(原則10万円、または所得の5%のいずれか低い方)を超えたとき、確定申告をすると税金の一部が戻ってくるのが「医療費控除」です。見落とされがちですが、介護に関する支払いの一部も対象になります。
なお、高額療養費や高額介護サービス費などで払い戻しを受けた分は、支払った医療費から差し引いて計算します。
介護で対象になりやすいもの
訪問看護や一定の介護サービスの自己負担分(対象となるサービスに限ります)
通院にかかった交通費(公共交通機関など)
寝たきり状態で、医師が治療上おむつの使用が必要と認めた方のおむつ代
おむつ代には「証明書」が必要
おむつ代を医療費控除に含めるには、医師が発行する「おむつ使用証明書」が必要です。市区町村によっては、要介護認定の主治医意見書の内容をもとに発行する「確認書」で代えられる場合もあります。1年目(初めて控除を受ける年)と2年目以降では必要な書類の条件が異なることがあるため、手続きの前に市区町村の窓口へ確認するとスムーズです。レシートや領収書は捨てずに取っておきましょう。
申請先:お住まいの地域を管轄する税務署(確定申告)。おむつ使用証明書は医療機関、確認書は市区町村の窓口
まとめ:福祉のお金の制度は「申請」で差がつく
福祉のお金の制度は種類が多く、しかも「申請しないともらえない」ものがほとんどです。すべてを完璧に覚える必要はありません。「払いすぎた医療費・介護費は戻る制度がある」「施設費や税金も軽くなる制度がある」——この2つを覚えておくだけで、困ったときに「これ、使えないかな?」と気づけます。
この記事のまとめ
① 高額介護サービス費:介護費が上限超で戻る。初回の申請を忘れずに
② 高額療養費制度:医療費が上限超で戻る。2026年8月に上限引き上げ+年間上限の新設・2027年8月も見直し予定
③ 合算療養費制度:1年分の医療+介護を合算して戻る
④ 負担限度額認定:施設の食費・部屋代が安くなる。有効期限は7月31日、毎年更新
⑤ 医療費控除:介護費・おむつ代で税金が戻る。確定申告で
「自分(や親)が対象になるのか分からない」というときは、迷わずお住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談してみてください。知っているかどうかで家計は大きく変わります。この記事が、あなたやご家族の「もらい忘れ・払いすぎ」を防ぐきっかけになればうれしいです。
※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。制度の内容や金額、上限額は今後変わる可能性があり、所得区分やお住まいの自治体によっても異なります。具体的な手続きやご家庭の状況については、お住まいの市区町村の窓口・加入している健康保険・税務署・専門家にご確認ください。
📋 参考・参照情報
※掲載情報は執筆時点のものです。制度・数値は改定される場合がありますので、最新情報は各機関の公式サイトをご確認ください。



