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人生会議(ACP)の始め方|家族で踏み出す最初の一歩

11 分前
読了時間: 5分


「そのとき」は、たいてい突然やってくる


病気や事故、加齢による衰えで、自分の考えを言葉で伝えられなくなる。それは、ある日突然おとずれることがあります。そうなったとき、医療やケアの方針を決めるのは、残された家族です。

けれど、本人の希望を知らないまま「代わりに決める」ことは、家族にとって大きな重荷になります。「これでよかったのだろうか」という迷いが、その後もずっと残ってしまうのです。


「大切だと思うのに、できていない」のが実情です


厚生労働省が一般の方6,000人を対象に行い、3,000人が回答した意識調査(令和4年度)では、次のような結果が出ています。


  • 人生会議(ACP)を「知らない」と答えた人は約72%。「よく知っている」と答えた人は約6%にとどまり、内容まではまだ知られていません。

  • 一方で、人生会議を前もって行うことに「賛成」と答えた人は約57%。反対はわずか1%未満でした。

  • 最期の医療・ケアの希望について「詳しく話し合っている」人はわずか約1.5%。「一応話し合っている」を足しても3割ほどです。

  • そして、「話し合ったことはない」人は約69%にのぼります。


つまり、多くの人が「大切なことだ」と感じながらも、実際にはまだ話し合えていない。この「ギャップ」を埋めるための取り組みが、これからお伝えする人生会議です。



人生会議(ACP)とは?


人生会議とは、「もしものとき」に自分がどんな医療やケアを望むかを、前もって家族や医療・ケアの担い手と話し合っておくことです。英語の頭文字をとって「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」とも呼ばれ、「人生会議」はその親しみやすい愛称として、厚生労働省が2018年に一般公募をもとに定めました。11月30日は「人生会議の日」とされています。


大事なのは、これが一枚の書類を作って終わり、というものではないことです。人生会議は「話し合いのプロセス」そのものを指します。気持ちや体の状態は変わっていくものなので、何度でも見直してよい、というのが本来の考え方です。


また、話し合いの主役はあくまで本人です。家族の思いは大切な参考になりますが、本人の意思を上書きするものではありません。「本人だったらどうしたいか」を中心に、みんなで確かめていく──それが人生会議です。


人生会議(ACP)とは?


人生会議の始め方|家族で踏み出す最初の一歩


「大切なのは分かるけれど、どう切り出せばいいの?」──ここがいちばんの難所です。人生会議の始め方は、難しく考えず、できるところから始めれば大丈夫です。


いつ始める?──元気なうちが、いちばん話しやすい


「縁起でもない」と感じるかもしれませんが、むしろ元気で落ち着いているときこそ、話しやすいタイミングです。認知症があっても、本人には自分の思いや意思があります。とくに初期(軽度)の段階は、本人が自分で考えて決めやすい時期です。診断される前や初期の段階から少しずつ話しておくことが、本人の思いを大切にすることにつながります。



何を話す?──「医療」の前に「価値観」から


いきなり延命治療の話をするとかまえてしまいます。まずは、その人が大切にしてきたことから、ゆるやかに。


話のきっかけになる5つの問い


  • これまでの人生で、大切にしてきたことは何だろう?

  • これから、どんなふうに毎日を過ごしたい?

  • 最期は、どこで過ごしたい?(自宅・施設・病院など)

  • してほしいこと、逆に「これだけは避けたい」ことは?

  • もしものとき、誰に判断をゆだねたい?



どう切り出す?──身近な出来事にのせて


改まって「大事な話がある」と言うと、身がまえてしまいます。テレビのニュースや、知人の入院、健康診断の帰り道など、日常のちょっとした場面にのせて切り出すと自然です。話した内容は、忘れないようにメモやエンディングノートに書き残し、家族で共有しておきましょう。


⚠ ここが大切:一度で完璧を目指さない


人生会議は、一回で結論を出すものではありません。気持ちは変わっていくのが自然です。「今日はここまで」でかまいません。折にふれて話題にし、少しずつ深めていくこと。それ自体が、本人の思いを尊重することになります。



まとめ|人生会議は、家族へのやさしさ


「もしものとき」に本人の希望が分かっていれば、家族は「本人が望んだこと」を支えられます。迷いや後悔をやわらげ、残された家族の心を守ることにもつながります。人生会議は、自分のためであり、同時に大切な人へのやさしさでもあるのです。


この記事のまとめ


  • 「そのとき」は突然やってくる。本人の希望を知らないと、家族が決断を背負うことになる。

  • 人生会議(ACP)は「もしものとき」の医療・ケアを前もって話し合うプロセス。主役は本人。

  • 人生会議の始め方は、元気なうち・認知症なら初期のうちが始めどき。医療の話より「価値観」から。

  • 一度で完璧を目指さず、日常のなかで少しずつ。話した内容は書き残して共有を。


まずは今夜、お茶を飲みながら一つだけ。「最期はどこで過ごしたい?」──その一言から、あなたの家族の人生会議を始めてみませんか。


※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。数値は厚生労働省「令和4年度 人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」(一般国民6,000人を対象、回答3,000人)によるものです。制度や支援の内容は今後変わる可能性があります。ご家庭の状況や具体的な進め方については、かかりつけ医、ケアマネジャー、お住まいの自治体の窓口や地域包括支援センターにご相談ください。

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