ナーシングホームと住宅型有料老人ホームの違いは?医療の手厚さで選ぶ
Q1. そもそも「ナーシングホーム」とは何ですか?
ナーシングホームとは、わかりやすく言えば「医療・看護の体制を手厚くした老人ホーム」のことです。ただし、ここが大事なポイントなのですが——
ナーシングホームの正体
「ナーシングホーム」という法律上の施設区分はありません。正式な類型ではなく、あくまで“通称”です。
実際には、医療・看護を手厚くした「住宅型有料老人ホーム」を指すことが多く、看護体制を強化したサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や、介護付き有料老人ホームを指して使われることもあります。
つまり「ナーシングホーム」は、箱の“種類の名前”ではなく、“中身の特徴(医療が手厚い)”を表すニックネームに近い言葉です。
ナーシングホームと呼ばれる施設の多くには、次のような共通の特徴があります。
24時間、看護師が常駐している体制を整えていることが多い
要介護3〜5の方や、末期がん・難病・医療依存度の高い方を受け入れている
たんの吸引、経管栄養、看取りなど、医療的なケアに対応している
住み慣れた環境で最期まで過ごす「終身利用」を想定している施設が多い

Q2. 「住宅型有料老人ホーム」とは何ですか?
住宅型有料老人ホームは、厚生労働省の資料でも示されている有料老人ホームの類型のひとつです(ほかに「介護付き」「健康型」があります)。食事の提供や掃除・洗濯などの生活支援、見守りといったサービスが付いた、高齢者向けの住まいを指します。おもに民間事業者が運営しています。
最大の特徴は、介護が必要になったときのしくみです。施設の職員が介護を丸ごと提供するのではなく、入居者が自分で、地域の訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを“選んで”利用しながら、その居室で暮らし続けるという形をとります。なお、2026年6月に公布された改正法では、特定の介護サービス事業者を使うことを入居の条件にすることが禁止されます。
入居対象は「自立」から「要支援・要介護」まで幅広いのも特徴で、施設によって想定する入居者像は大きく異なります。比較的お元気な方向けの施設もあれば、医療・看護を手厚くして要介護度の高い方を中心に受け入れる施設もあります。この“医療を手厚くした住宅型有料老人ホーム”が、ナーシングホームと呼ばれる施設の代表的なかたちです。
Q3. ナーシングホームと住宅型有料老人ホームの違いは?
ここまでを整理すると、2つは「横に並ぶ別カテゴリー」ではなく、多くの場合、〈大きな器=住宅型有料老人ホーム〉の中に、〈医療を手厚くしたタイプ=ナーシングホーム〉がある、という“入れ子”の関係です(サ高住などの場合もあります)。
そのうえで、一般的な住宅型有料老人ホームと、ナーシングホームと呼ばれる施設を比べると、違いが見えてきます。
比べるポイントは主に3つ
一般的な住宅型 と ナーシングホームの違い
看護・医療の体制:一般的な住宅型は日中の見守りや医療機関との提携が中心。ナーシングホームは24時間の看護師常駐をうたう施設が多い。
受け入れる方の状態:一般的な住宅型は自立〜軽度の方も多い。ナーシングホームは要介護度が高い方、末期がん・難病など医療的ケアが必要な方が中心。
看取りへの対応:ナーシングホームは終末期の緩和ケアや看取りまで対応する施設が多い。
⚠ ここが大切:名前だけで判断しない
「ナーシングホーム」は通称で、この名前で設置基準が決まっているわけではありません。そのため、看護師が本当に24時間常駐しているか、夜間の医療対応ができるかは、施設ごとに差があります。名称のイメージだけで決めず、入居前に実際の体制を必ず確認しましょう。
📌 2026年の法改正:中重度の方向けのホームは「登録制」へ
2026年6月に公布された改正法により、中重度の要介護の方や医療ケアが必要な方などを受け入れる有料老人ホームは、これまでの「届出」から都道府県への「登録」が必要になります。登録は5年ごとの更新制で、誇大広告も禁止されます。施行は公布から2年以内の予定で、細かな基準はこれから政令などで決まります。施設を選ぶときは、今後この登録を受けているかどうかも確認するとよいでしょう。

Q4. 費用はどう違いますか?
大きな傾向として、看護・医療の体制が手厚くなるほど、月額費用は高くなりやすいと考えておくとよいでしょう。24時間の看護体制を整えるには人手がかかるためです。
ただし金額は施設によって幅が大きく、ナーシングホームと呼ばれる施設のなかでも、月額利用料には大きな開きがあります。さらに、月額利用料とは別に、介護保険の自己負担分・医療費・おむつ代やリネン代などの実費が上乗せされるのが一般的です。
費用を確認するときのコツ
「月額◯万円」の表示に、何が含まれ、何が別途かかるのかを必ず聞く。
介護サービス費・医療費・日用品費などの“上乗せ分”まで含めた総額で比べる。
正式な金額は、施設から渡される「重要事項説明書」で確認するのが確実です。
Q5. うちの場合、どちらを選べばいい?
選ぶ軸はシンプルです。「今、そしてこれから、どのくらいの医療・看護が必要か」で考えます。
一般的な住宅型有料老人ホームが向いている方
自立〜軽度の要介護で、日常の見守りや生活支援が中心でよい
必要な介護サービスは、使い慣れた訪問介護やデイサービスを自分で選びたい
レクリエーションや交流など、生活の楽しみも大切にしたい
ナーシングホーム(医療特化型)が向いている方
たんの吸引・経管栄養・インスリン注射など、日常的な医療的ケアが必要
要介護度が高く、病院からの退院後の受け入れ先を探している
住み慣れた場所で、看取りまで安心して過ごせる体制を求めている
迷ったときは、ケアマネジャーや地域包括支援センター、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談すると、本人の状態に合った施設を一緒に探してもらえます。
この記事のまとめ
「ナーシングホーム」は法律上の区分ではなく、医療を手厚くした施設の“通称”。
その多くは「住宅型有料老人ホーム」の一種で、2つは“別カテゴリー”というより“入れ子”の関係。
違いは「看護・医療体制」「受け入れる状態」「看取り対応」の手厚さ。
医療が手厚いほど費用は高くなりやすい。総額で比べ、重要事項説明書で確認を。
名称のイメージで決めず、24時間の看護体制が本当にあるかを必ず確認する。
中重度の方向けの有料老人ホームは、2026年の法改正で登録制へ移る予定。
📋 参考・参照情報
※掲載情報は執筆時点のものです。制度・数値は改定される場合がありますので、最新情報は各機関の公式サイトをご確認ください。「ナーシングホーム」は法令上の施設区分ではなく通称のため、各施設の看護体制・費用は施設ごとに必ずご確認ください。
※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。制度や施設の運営基準は今後変わる可能性があります。各施設の具体的なサービス内容・費用・医療体制、およびご家庭の状況については、お住まいの自治体の窓口、ケアマネジャー、または各施設に直接ご確認ください。



