top of page

【2026年改正】在職老齢年金の基準が62万円に。年金は結局いつ貰うのが正解?

  • marketing047680
  • 6 日前
  • 読了時間: 6分
【2026年改正】在職老齢年金の基準が62万円に
【2026年改正】在職老齢年金の基準が62万円に

「定年後、社会とのつながりを持ちたくて働く時間を少し増やしたのに……思ったほど通帳の残高が増えていない気がする」

そんな、アクセルを踏んでいるのにブレーキがかかっているような感覚、ありませんか?

そしてもう一つ、シニア世代の永遠のテーマとも言える悩み。 「年金って、結局 何歳からもらうのが正解なの?」

これは、ご自身の話であれ、ご家族の相談であれ、突き詰めて考えていくと最後は必ずここで思考が止まってしまいます。 「損はしたくないけれど、制度が複雑すぎてよく分からない」というのが本音ではないでしょうか。

今日は、その“思考が止まるポイント”を、制度の一次情報と最新の改正情報を元に、噛み砕いて整理します。


今回のテーマ


「在職老齢年金 62万円」への基準引き上げ(令和8年4月改正予定)と、年金の受給開始年齢(繰上げ・繰下げ)の判断基準について。


結論


まず結論から申し上げます。迷子にならないよう、最重要ポイントは以下の3点です。

1.基準額の緩和: 働きながら年金がカットされる「在職老齢年金」の基準額は、令和7年度は「月51万円」。

これが令和8年(2026年)4月からは「月62万円」へ引き上げられる見込みです。


2.確定時期に注意: 「62万円」という数字は2025年末時点での改正案・見通しであり、正式な確定は2026年1月下旬頃となります。


3.受給開始の判断軸: 「繰上げ・繰下げ」は、受け取る総額の損得勘定だけで決めないこと。

特に「繰上げ」は一度選択すると取り消しができないため、資金繰りと健康面(健康寿命)をセットで判断する必要があります。

詳細な理由と背景を、これから解説します。



1. そもそも「在職老齢年金」とは何か


在職老齢年金」とは
在職老齢年金」とは

「働くと年金が減らされる」とよく言われますが、正確には「老齢厚生年金を受け取りながら、厚生年金保険に加入して働く場合」に適用される制度です。すべての働くシニアが対象ではありません。

判定に使われるのは、以下の2つの数字の合計です。

  • 基本月額: 年金のうち、老齢基礎年金や加給年金を除いた「老齢厚生年金(報酬比例部分)」の月額。

  • 総報酬月額相当額: 毎月の給与(標準報酬月額)に、直近1年間の賞与(ボーナス)を12で割った額を足したもの。

この「年金」と「給与+賞与」の合計が、国が定めた基準額を超えた場合、超えた金額の半分の年金が支給停止(カット)されます。


2. 令和7年度の「51万円」と、令和8年度の「62万円」


【2026年改正】在職老齢年金の基準が62万円まで引き上げ
【2026年改正】在職老齢年金の基準が62万円まで引き上げ

これまでは、この基準額が厳しく設定されていたため、「働けば働くほど年金が減るから、給料を抑えよう」という働き控え(就業調整)が起きていました。

  • 令和7年度(2025年度): 基準額は51万円です。合計が51万円以下なら全額支給、超えれば調整が入ります。

  • 令和8年度(2026年4月〜): ここが大きな改正ポイントです。政府は、シニア層の就労意欲を削がないよう、この基準額を「62万円」まで引き上げる方針を固めました。

これにより、現役並みにバリバリ稼いでも、年金が満額受け取れる人の範囲が大幅に広がることになります。「年金カットを気にして働く時間をセーブしていた」という方にとっては、大きな朗報と言えるでしょう。


3. 最大の落とし穴は「賞与(ボーナス)」


賞与(ボーナス)はどうなるの?
賞与(ボーナス)はどうなるの?

「月給30万円と年金15万円だから、合計45万円。在職老齢年金の62万円ラインには余裕がある」

そう安心するのはまだ早いです。

この制度の計算式には「直近1年間の賞与」も含まれます。

例えば、夏冬で合計120万円のボーナスがある場合、それを12で割った「10万円」が毎月の計算に上乗せされます。

  • 月給30万 + 年金15万 + ボーナス換算10万 = 合計55万円

現状の51万円基準だとオーバーしてしまいますが、改正後の62万円基準になればセーフになります。ご自身の年収構成をしっかり確認しておきましょう。





制度改正で働きやすくなるとはいえ、「いつ受給を開始するか」は個人のライフプランに直結する深刻な問題です。



1. 繰上げ受給(60歳〜64歳):早くもらう選択


繰上げ受給(60歳〜64歳)
繰上げ受給(60歳〜64歳)

・メリット: 65歳を待たずに現金を受け取れる。


・デメリット: 1ヶ月早めるごとに0.4%減額され、その減額率は一生変わりません。最大で24%の減額となります。


【絶対に見落としてはいけない注意点】

繰上げ請求には「後戻りできない」リスクがあります。

・一度請求すると取り消し不可。

・国民年金の任意加入や保険料の追納ができなくなる。

・事後重症などによる障害年金が請求できなくなる(これが非常に大きいです)。

「とりあえず早くもらっておこう」という軽い気持ちで選択すると、万が一障害を負った際に、より手厚い障害年金を受け取る権利を失う可能性があります。


2. 繰下げ受給(66歳〜75歳):遅くもらう選択


繰下げ受給(66歳〜75歳)
繰下げ受給(66歳〜75歳)

・メリット: 1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額。最大で84%も年金額が増えます。


・デメリット: 受給までの期間、無年金で生活する資金力が必要。税金や社会保険料も上がることがある。

ここでの注意点は、先ほどの「在職老齢年金」で支給停止(カット)されていた金額分は、繰下げても増額の対象にならないということです。

「働いて年金がカットされていたけれど、繰下げすれば増えるだろう」という期待は裏切られることになります。


3. 判断の軸は「損得」ではなく「資金と時間」


 判断の軸は「損得」ではなく「資金と時間」
 判断の軸は「損得」ではなく「資金と時間」

いつ受け取るべきか。

正解は人それぞれですが、判断基準として以下の「3つの軸」を持つことをお勧めします。

  1. 資金繰り(Cash Flow): 繰下げ待機期間中、貯蓄を取り崩して生活できるか?急な出費に耐えられるか?

  2. 健康寿命(Time): 「平均寿命」ではなく、元気に活動できる「健康寿命」を意識してください。増額された年金を80代で受け取っても、使う体力がなければ生活の質は上がりません。

  3. リスク許容度(Risk): 繰上げ受給による「障害年金の権利放棄」などの不可逆的なリスクを許容できるか。


まとめ


働く時間を増やしたのに手取りが増えた気がしない……そのモヤモヤの正体のひとつが、この在職老齢年金制度でした。

今回の記事のポイントをおさらいします。

・令和8年4月から「在職老齢年金 62万円」へ基準が緩和される予定です。

・これにより、就業調整をせずに働けるシニア層が増加します。

・ただし、受給開始年齢の選択は、金額の損得計算だけでなく、「資金繰り」「健康状態」「制度上のリスク」の3点を総合的に見て決断してください。

制度は活用するためにあります。

「知らずに損をした」という事態を避けるためにも、最新の情報をキャッチアップし、ご自身のライフスタイルに合わせた最適な選択をしていきましょう。


もし、ご自身のケースでの具体的な計算や手続きに不安がある場合は、最寄りの年金事務所で「年金見込額試算」を行ってもらうのが最も確実です。




bottom of page