夜勤明け、眠れないのはなぜ?介護職のための体を守る過ごし方
- 3 時間前
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夜勤を終えて、やっと家に着いた。体はくたくたなのに、いざ布団に入ると頭が妙に冴えて眠れない——。介護の夜勤を経験したことがある方なら、この独特のつらさに覚えがあるのではないでしょうか。
「気合いが足りないのかな」「自分の体力の問題かな」と思ってしまいがちですが、実はこれ、あなたのせいではありません。人の体のしくみからすると、夜勤明けに眠りにくいのは、ある意味で自然なことなのです。
この記事では、夜勤明けになぜ眠れないのかをやさしく解説したうえで、帰宅してから次の勤務までの過ごし方のコツを具体的にご紹介します。読み終わるころには、自分なりの「回復ルーティン」を組み立てるヒントが見つかるはずです。
夜勤明け、なぜこんなに眠れないの?
私たちの体には、約24時間周期で「昼は活動、夜は休む」というリズムを刻む体内時計(サーカディアンリズム)が備わっています。夜勤はこのリズムに逆らって働くため、本来眠るべき時間に働き、活動すべき時間に眠ろうとすることになります。眠りにくいのは当然なのです。
さらに、夜勤明けの帰り道に浴びる朝日が体を目覚めさせてしまいます。強い光を浴びると、眠りを促すホルモン「メラトニン」の分泌が抑えられ、脳が「今は昼だ、起きる時間だ」と勘違いしてしまうためです。つまり、疲れているのに眠れないのは、根性の問題ではなく、体のしくみによるものだということです。
◆ 夜勤明けに眠りにくくなる主な理由
体内時計の乱れ:本来眠る時間に働くため、リズムがずれてしまう。
朝の光:帰り道や部屋の光で脳が覚醒モードに切り替わる。
神経の高ぶり:緊張感のある夜勤のあとは、心身が興奮したままになりやすい。
夜勤明けの過ごし方——帰宅から次の勤務まで

眠れないつらさを軽くするカギは、家に帰ってからの最初の1〜2時間の過ごし方にあります。疲れているからといって、いきなり布団に直行するのは実は逆効果になりがちです。順番に見ていきましょう。
① いきなり寝ない。まずはぬるめの入浴で体をゆるめる
極度に疲れた状態でいきなり横になると、神経が高ぶったままで、かえって眠りが浅くなることがあります。おすすめは、帰宅後にぬるめのお湯にゆっくり浸かること。38〜40℃くらいのお湯に10〜15分ほど浸かると、いったん上がった体温がその後すーっと下がっていき、その体温の下降が自然な眠気を誘ってくれます。
逆に、熱いお湯は交感神経を刺激して目が冴えてしまうので注意しましょう。気力が残っていないときは、少し熱めのシャワーを首の後ろや足先に当てるだけでも血行がよくなり、疲れがほぐれやすくなります。
② 眠る前に、消化にやさしいものを軽く食べる
夜勤中は食事が不規則になりがちです。空腹のままだと眠りにくいので、眠る前に何か軽くお腹に入れておくと落ち着きます。ただし、高カロリーなものや食べすぎは胃に負担がかかり、睡眠の質を下げてしまうので、おにぎりや温かい汁物など、消化にやさしいものを少しだけにしておきましょう。
③ 仮眠は「3時間くらい」がちょうどいい
夜勤明けは「今日は一日中寝てやる」と思いたくなりますが、昼間に寝すぎると夜に眠れなくなり、生活リズムがさらに乱れる悪循環に陥りやすくなります。夜勤明けの仮眠は3時間程度にとどめ、午後からはできるだけ通常どおり活動するのがおすすめです。
人の眠りは、浅い眠りと深い眠りをおよそ90分周期で繰り返すとされています。眠りが浅くなるタイミングで目覚めるとスッキリしやすいといわれるため、90分の倍数(1時間半、3時間)を目安にアラームをかけておくのも一つの方法です。ただし、眠りの深さやリズムには個人差があります。あくまで目安として、自分が起きやすい長さを少しずつ見つけていきましょう。
◆ ぐっすり眠るための環境づくり
光を遮る:遮光カーテンやアイマスクで、部屋を夜のように暗くする。
音を防ぐ:日中の生活音が気になるときは耳栓を使う。
目元を温める:蒸しタオルや使い捨てアイマスクで目元を温めると、副交感神経が優位になりリラックスできる。
スマホを見ない:寝る前の画面の光は覚醒を招くので、布団の中では手放す。
夜勤「中」にもできる、体を守るちょっとした工夫
夜勤明けのつらさは、勤務中の過ごし方でも和らげられます。休憩がとれる職場なら、勤務の前半(深夜0時〜3時ごろ)に短い仮眠をとると、後半の眠気がぐっと軽くなります。まとまって休めるなら90分、短くても15〜30分の仮眠で疲労感が変わってきます。一人夜勤で横になれないときも、目を閉じて体を休めるだけで違います。
眠気覚ましには「カフェインナップ」も便利です。仮眠の直前にコーヒーなどを飲んでおくと、カフェインが効き始める15〜30分ほど後、ちょうど目覚めるタイミングと重なってスッキリ起きられます。ただし、夜勤明けにすぐ眠りたい日は、勤務終盤のカフェインは控えめにしておきましょう。
セルフケアしても改善しないときは、無理をしないで
ここまでの工夫を試しても、眠れない日が続いたり、勤務中に強い眠気や集中力の低下が続いたりする場合は、「交代勤務睡眠障害(シフトワーク睡眠障害)」という状態かもしれません。これは交代制勤務で体内時計が乱れることによって起こる、れっきとした睡眠の不調で、気合いで乗り切るものではありません。
⚠ こんなサインが続くときは相談を
夜勤明けに寝つけない・途中で何度も目が覚める日が続く
勤務中の強い眠気や集中力の低下が増えた
日中も疲労感が抜けず、意欲が湧かない
頭痛や胃腸の不調、気分の落ち込みなど、以前はなかった不調がある
こうした状態が続くときは、我慢せず医療機関に相談してみてください。専門家に相談すること自体が、体を守る大切なセルフケアです。
夜勤は、利用者さんの夜を支える大切な仕事です。だからこそ、まずは支える側であるあなた自身の体を大事にしてください。今日から一つでも取り入れられそうなものから、無理なく試してみてくださいね。
◆ この記事のまとめ
夜勤明けに眠れないのは体内時計と光のしくみによるもので、あなたのせいではない。
帰宅後はいきなり寝ず、ぬるめの入浴(38〜40℃)と軽い食事で体をゆるめる。
仮眠は3時間くらいにとどめ、遮光・耳栓・目元の温めで環境を整える。
夜勤中の短い仮眠やカフェインナップも体を守る助けになる。
不調が続くときは無理をせず、医療機関に相談を。
参考・参照情報
厚生労働省 e-ヘルスネット「概日リズム睡眠障害」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-007.html
厚生労働省 e-ヘルスネット「交代勤務睡眠障害」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-017.html
厚生労働省 e-ヘルスネット「メラトニン」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-062.html
厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-008.html
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023・睡眠対策」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html
※掲載情報は執筆時点(2026年7月)のものです。睡眠や体調の感じ方には個人差があります。体調に不安がある場合や不調が続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。



