親の「あんた盗ったでしょ!」に心が折れそうな時。認知症の物盗られ妄想がスッと落ち着く「魔法の返し方」
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- 6 日前
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認知症の介護をしているご家族にとって、精神的に最もつらい症状のひとつが「物盗られ妄想」です。
今まで大切に思ってきた親から、急に「あなたが私のお金を盗ったでしょ!」と犯人扱いされる…。頭では病気のせいだと分かっていても、言われた瞬間はグサッときますし、「違うよ!」と否定したくなるものです。
しかし、実はその場の“最初の対応”ひとつで、物盗られ妄想の興奮が収まるか、長引くかが決まってしまいます。
今回は、認知症の方特有の「物盗られ妄想」への正しい対応と、それを起こりにくくする予防策を、今日から使える実践的な形でお伝えします。
結論
まず結論からお伝えします。 物盗られ妄想に対して、「事実の正しさ」で勝とうとしてはいけません。
「盗っていない」と否定して説得するよりも、まずは「本人の不安を和らげる対応」が解決への近道です。 認知症施策の総合的な推進について(厚生労働省)物とられ妄想(国立長寿医療研究センター)
1. そもそも「物盗られ妄想」とは?なぜ起きるの?

国立長寿医療研究センターでは、周囲が何と言おうと「盗まれた」と信じ込んで考えを変えない状態を「物とられ妄想」と説明しています。
これは、アルツハイマー型認知症の初期によく見られる代表的な症状です。
厚生労働省の支援マニュアルでも、「物盗られ妄想などの被害妄想はアルツハイマー型認知症に多い」としたうえで、対応の基本が示されています。
なぜ本人は本気で「盗まれた」と思うのか?
決して意地悪で言っているわけではありません。
記憶障害(物忘れ)が進行し、自分でしまった場所を忘れてしまう「置き忘れ・しまい忘れ」が増えることが原因です。
本人は「自分で置いた記憶」だけがすっぽりと消えているため、「ここにない=誰かが持ち去った(盗んだ)」という解釈をしてしまうのです。
本人にとっては、紛れもない「現実」として物盗られ妄想の不安を感じています。
2. 物盗られ妄想が出た瞬間の「OK対応」と「NG対応」

ここが一番のポイントです。
物盗られ妄想が出たとき、厚生労働省の支援マニュアルでは以下の対応を推奨しています。
・まずは訴えに耳を貸し、穏やかに対応する
・本人の言っていることは否定せず、共感的な言葉をかける
・可能なら話題を変える、見守れる範囲で少し離れてみる
現場で使える「対応の型」
とっさの時に使えるフレーズを持っておきましょう。
✅最初の一言(共感) 「そう思うんだね」 「それはつらいね」 「無くなると心配だよね」
✅ 次の一手(行動) 「一緒に探そうか」
国立長寿医療研究センターも「頭から否定せずに、まずは一緒に探す」ことを推奨しています。
❌ 悪化させる「NG対応」
最も避けたほうがいいのは、“真っ向否定で勝負すること”です。
「盗ってないってば!」「勘違いだよ!」 このように正しさで押し返すと、本人の不安が強いほど、火に油を注ぐ結果になりがちです。
ここはグッとこらえて、まず「不安を下げること」を優先しましょう。
3. 物盗られ妄想を防ぐ・減らすための「環境の整え方」

対応だけでなく、家庭や施設でできる物盗られ妄想の予防策もあります。
① 見つかった物は「分かりやすい場所」へ
国立長寿医療研究センターでは、なくなった物が出てきたら「わかりやすいところに置きなおしましょう」としています。
「また無くなるかも」と隠してしまうと、また場所を忘れて「盗まれた」のループに入ってしまいます。
② 「見えにくさ」を放置しない
視力の低下や、眼鏡が合っていないことが「妄想の悪化要因」になり得るとされています。 「最近、見えにくそうにしているな」と感じたら、眼科受診や眼鏡の調整を検討してください。
予防のポイント: 1.見つかった物は「分かりやすい場所」に戻す(迷子を減らす)
2.視力・眼鏡の状態をチェックする
4. 物盗られ妄想がひどい時は医師や専門家へ

ご家族だけで抱え込む必要はありません。 物盗られ妄想の症状が強く出る場合、厚生労働省のガイドライン等では、以下のような段階的な対応が示されています。
・まずは環境調整やケアの変更(非薬物的介入)を検討する
・妄想が強い場合は、薬で症状を軽くできることがあるので医師に相談する
・他者へ危害を加える恐れがあるなど緊急性が高い場合は、専門医療機関へ紹介する
「もう限界かも」と感じたら、早めにケアマネジャーや医師に相談しましょう。 かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(厚生労働省)
まとめ:物盗られ妄想には「型」で対応しよう
物盗られ妄想は、本人にとって「大切な財産が無くなった」という強烈な不安が襲っている状態です。
だからこそ、こちらの「潔白」を証明するよりも、まず「安心」を手渡してあげてください。
1、否定しない・耳を貸す・共感する
2、「一緒に探そう」と提案する
3、必要なら話題を変える・距離をとる
4、見つかったら分かりやすい場所へ
全部を完璧にできなくても大丈夫です。「まずはこう返そう」という“型”がひとつあるだけで、その場のしんどさは随分と軽くなりますよ。










