「いつまで介護を続けられるだろう」と不安を感じておられませんか?症状が重くなるにつれて必要な介助は増えていきます。親だけでなく介助者自身も、毎年歳を重ねて体力が衰えてしまいます。
在宅介護の限界を超えて無理をしていると、ご家族様まで共倒れになるような事態になりかねません。
そこで本記事では、在宅介護の限界を見極める5つのポイントを解説します。この記事を通して介護の限界を見極め、皆さんに少しでも健やかな生活を送っていただきたいと願っています。
目次:
在宅介護の限界
シングル介護の限界
老老介護の限界
認知症の方の介護をする家族の限界
介護が必要になった要因
介護施設へ入居するきっかけ
同居して介助をしている家族が限界を感じる
要介護者が1人暮らしをするのが困難になる
どこで医療や療養を受けるか|厚生労働省の意識調査
在宅介護の限界を見極める5つのポイント
1.1日の多くを介護に費やしている
2.トイレの介助で睡眠時間が削られる
3.介護離職を検討している
4.何度も腰を痛めてしまう
5.徘徊に関連する危険性が高い
まとめ:医療も提供できる施設を選ぶ
私たちが目指すのは家族がしてあげたいと願う介護です
在宅介護の限界
家庭で介護を行うためには、介助者が常に気を張って働かなければなりません。介護施設や老人ホームなどとは異なり、24時間見守りができるわけではありませんから、在宅介護には明らかな限界があります。
毎日新聞による2016年のアンケートでは、実際に介護者の73%が「肉体的・精神的な限界を感じたことがある」と回答しています。この項目では、以下の3つのケースについて考えましょう。
シングル介護の限界
老老介護の限界
認知症の方の介護をする家族の限界
シングル介護の限界
「シングル介護」とは、介護を1人で行うことです。仕事や家事もすべて1人で行わなければならず、それに加えて介護の負担が1人に偏ると、継続するのが非常に難しくなります。
1人ですべての世話をしている場合、時間的なリソースが限られているため自分のためにゆったりと休息を取ることさえできません。介護者の疲労度が上昇してしまい、洗濯や掃除などの家事が後回しになる場合があります。
職場の理解が得られないのは、仕事と介護を両立するのを困難にする要因の1つです。仕事の調整ができないまま介護を続けていると、介護離職につながるおそれさえあります。
また、病気や障害のある方の心理的ケアも必要ですが、1人だけでは「生活面のサポートをするだけで精一杯」というケースもあるでしょう。シングル介護の限界は明らかですが、介護や医療の支援サービスを受ければ負担は軽くなります。
老老介護の限界
老老介護とは、高齢者が高齢者の介護をせざるを得ない状況を指す言葉です。介助者と要介護者双方が65歳以上のケースに当てはまります。厚生労働省が発表した統計によると、老々介護の割合は2019時点で59.7%にも上りました。
画像引用元:老老介護の割合 - 2019年 国民生活基礎調査|厚生労働省(弊社にて赤枠追記)
老老介護には多くの困難が伴います。まず、要介護者の移動やトイレの介助などを行う必要がありますが、これらの作業は重労働です。介助者自身の筋力や体力も低下しているため、若い方よりも疲労感や限界を感じやすいでしょう。
認知症の方の介護をする家族の限界
認知症の方の介護ではさまざまな問題が生じ、家族に大きな負担が強いられます。例えば、認知機能の低下により行動が不規則になって夜中に活動したり、大声で怒りや不安を表したりする場合があります。
認知症の方の行動変化だけでなく、心理的な変化に対応するのも大変です。介護を行う家族は、全員が何らかの精神的なストレスを感じます。
とりわけ認知症の方が重度になって徘徊するようになると、常に監視が必要で気が休まる時間さえありません。要介護度は1~3でも、「認知症の方の介護が最も大変だ」といわれています。
さらに、親しい関係にある人さえ認識できないようになると、ご家族は大きなショックを受けます。一緒に長い時間を過ごしてきた絆まで消えてしまったかのように感じて、悲しくなることもあるでしょう。
介護が長期間になればなるほど、家族の誰かに負担が偏ってしまい、限界を迎えてしまう可能性があります。また、食事や活動の管理も必要であり、家族のうち1人で行うのは困難です。家族全員で協力して認知症の方の介助ができるなら心強いですが、専門の支援を受けて負担を軽減できるように工夫するのも大切です。
介護を続けていくためには家族の健康が絶対条件
「介護は親子の絆があれば続けられる」というものではありません。親の介護を続けていくためには、介助者である家族が心身ともに健康であることが絶対条件です。
在宅介護の限界を考えるうえで、無理なく継続できるかどうかを考える必要があります。頑張り過ぎて共倒れになるのは、結果的にはお互いのためにならないからです。
介護が必要になった要因
厚生労働省の資料によると、介護が必要になった3つの要因は下記の通りです。
認知症:24.3%
脳血管疾患(脳卒中):19.2%
骨折・転倒:12.0%
介護が必要になった要因|要介護度別
画像引用元:介護が必要になった主な原因|厚生労働省(弊社にて赤枠追記)
これらの要因は、介護施設へ入居するきっかけにもなります。
介護施設へ入居するきっかけ
介護施設や老人ホームへの入居を検討するきっかけは、要介護者が家族と同居しているかどうかで変わってきます。主なパターンは次の2つです。
同居して介助をしている家族が限界を感じる
要介護者が1人暮らしをするのが困難になる
同居して介助をしている家族が限界を感じる
厚生労働省によると、主な介助者が要介護者と同居している割合は54.4%で最も多いです。同居している場合は家族が大変な負担を背負うようになり、介護施設や老人ホームを検討するパターンがよく見受けられます。
特に仕事をしている介助者が多いため、介護と仕事の両立に限界を感じる方もいらっしゃいます。
総務省の資料によると、実際に30歳~59歳の介助者が仕事をしている割合が8割以上と高く、仕事と介護をどのように両立させるかが課題となっているのがわかるでしょう。
介護者の有業率
画像引用元:介護者の有業率|内閣府男女共同参画局資料(出典元:総務省)弊社にて赤枠追記
参考情報:主な介護者の構成割合|内閣府男女共同参画局資料(出典元:厚生労働省)
要介護者が1人暮らしをするのが困難になる
「元気だから1人でも大丈夫」と思っていた方が、転倒による骨折で介護が必要になるケースもあるので、症状が比較的軽くても油断はできません。
家族の家の近くに部屋を借りようとしても、認知症の方の場合は賃貸契約をするのが難しいため、選択肢となるのが介護施設や老人ホームです。脳卒中に起因した麻痺が残って、医師やソーシャルワーカーから介護施設を検討するようすすめられるケースもあります。
要介護者を主に介護しているのが「別居の家族」である割合は13.6%です。身体的な病気や認知症などの症状が重くなり、1人暮らしをするのが困難になったときが老人ホームへ入居を検討するきっかけになります。
例えば1人で外出して帰ってこられなくなり、何度も警察に保護されると、ご家族も心配になるでしょう。この点は、ご本人様自身が介護の必要性を感じて決断するケースもあります。
どこで医療や療養を受けるか|厚生労働省の意識調査
厚生労働省による意識調査で「今後認知症が進行する」と仮定して、次のような内容のアンケートが実施されました。
Q:認知症が進行して自分がいる場所や家族を認識できなくなり、身の回りの手助けが必要な状態で、衰弱がかなり進んできたとします。この場合、どこで過ごして医療や療養を受けたいですか。下記の3つの中から選択してください。
医療機関
介護施設
自宅
最も多い回答結果は「介護施設」で51.0%、次に多いのが「医療機関」で28.2%でした。この2つを合計すると、79.2%の方が自宅以外を希望していることがわかります。
回答結果
介護施設:51.0%
医療機関:28.2%
自宅:14.8%
無回答:6.1%
さらに、介護施設や医療機関を選んだ79.2%の人々に対して、自宅以外で医療や療養を受けることを希望した理由について回答を求めました。その結果は次の通りです。(複数選択)
割合が多い回答の上位3つは次の通りです。
「介護してくれる家族等に負担がかかるから」:76.0%
「症状が急に悪くなったときの対応に自分も家族等も不安だから」:37.9%
「症状が急に悪くなったときにすぐ病院に入院できるか不安だから」:21.7%
このアンケートは介護施設に入居するきっかけについての調査ではありませんが、少なくとも「きっかけとなり得る要素」を知る手掛かりになります。「家族に負担をかけたくない」という理由で、自ら施設への入居を希望する方も多いのです。
※医療関係者などを対象にしたアンケートも実施されていますが、この項目で特に言及している調査の対象者は全国の20歳以上の男女です。(一般国民)
※四捨五入しているため、合計の比率は100%にはなりません。
在宅介護の限界を見極める5つのポイント
介助者が、「自分があと少しがんばれば在宅介護を続けられる」と思っている状態が一番無理をしているかもしれません。そして、「家族なんだから世話をするのが当然」という心理が働くかもしれませんね。
しかし、次のような状況に1つでも当てはまるなら、「在宅介護の限界が近い」、あるいは「既に限界ラインを超えている」とお考えください。「もう十分にやった」と自分をねぎらっていいのです。
1日の多くを介護に費やしている
トイレの介助で睡眠時間が削られる
介護離職を検討している
腰を複数回痛めた場合
徘徊に関連する危険がある
どんな人にでも体力的な限界はありますし、「家庭で24時間介護をするのは不可能」と考えた方がいいでしょう。共倒れになる前に決断する必要があります。
1.1日の多くを介護に費やしている
必要な介護内容によっては1日の大半を介助に費やしている場合があり、相当な負担がかかっているのは想像に難くありません。要介護度がすべての指標になるわけではありませんが、ある程度介護時間の長さに影響しています。
厚生労働省の資料によると、「ほとんど終日」介護をしている方の割合は要介護度3の場合に32.5%で、「半日程度」を含めると5割を超えます。要介護度5では「ほとんど終日」介護をしている方は56.7%、「半日程度」を含めると69.5%です。
要介護度別の介護時間
1日の多くを介助に充てざるを得ない状況は、「在宅介護の限界を超えている」といえるでしょう。
2.トイレの介助で睡眠時間が削られる
「1人でトイレに行けなくなる」のは、老人ホームへの入居を検討すべきタイミングの一つです。高齢者は夜中にトイレへ行く頻度が増える傾向があり、一晩で何度も行く方も多くいらっしゃいます。
介助が必要であれば、トイレに行く度に起きなければなりません。そんな毎日を長期間過ごせば、疲労が蓄積していつかは限界を迎えるでしょう。介助者の寝つきが悪ければなおさらです。
夜間のトイレの介助だけでも大変ですが、間に合わずに失禁してしまい、後始末に時間を要するケースもあります。睡眠時間が削られると疲れを癒せず、体も心も疲弊し切ってしまいます。生活に支障が生じるほどであれば、「在宅介護の限界」と考えるべきです。
厚生労働省の資料によると、「在宅介護を継続するのが困難」と判断する際に「認知症状への対応」と「夜間の排泄」が重要なポイントとして挙げられています。
主な介護者が不安を感じる介護は、要介護3以上では「認知症状への対応」「夜間の排泄」
■「現在の生活を継続していくにあたって、主な介護者の方が不安に感じる介護」について、要介護3以上では、特に「認知症状への対応」と「夜間の排泄」について、主な介護者の不安が大きい傾向がみられました。
■したがって、要介護3以上では、主な介護者が「在宅生活の継続が困難」と判断する特に重要なポイントとして、「認知症」と「(夜間の)排泄」の2点が挙げられると考えられます。
要介護者の衛生状態を守れなくなってきているとしたら、老人ホームへの入居を検討すべきタイミングです。
3.介護離職を検討している
日中は仕事をして、帰宅してからも親の介護をしなければならない状況は、まるで長い残業を強いられているかのようです。介護疲れや睡眠不足に起因して仕事に集中できずにミスが増えてしまったり、鬱病の症状が出たりするのは危険なサインです。
もし「介護をするために仕事を辞めようか」と考えているとしたら、既に在宅介護の限界を超えています。下記に示す総務省の資料によると、実際に介護・看護のために1年間に離職した人数は合計99,100人でした。
介護・看護のために離職した人数 - 2017年(男女・年代別)
画像引用元:介護離職|内閣府男女共同参画局資料(出典元:総務省)弊社にて赤枠追記
介護離職をしても介護生活が楽になるわけではありません。仕事と両立していたとき以上に介護に費やす時間が増えて、場合によっては社会から孤立し、むしろ精神的・身体的な疲労が増えてしまうケースがあります。そして当然ながら、収入がないために金銭的なストレスも重くのしかかります。
ですから、仕事に支障が出てきているなら、早めの段階で老人ホームなどの施設の助けを借りることも検討した方がよいでしょう。
4.何度も腰を痛めてしまう
入浴やベッドから車いすへの移動の際などに、身体介護で腰を痛めてしまうご家族様が多くいらっしゃいます。介助の訓練を受けたわけではなく、正しい知識がないまま力技で介助をする方が多いためです。介助作業は重労働であり、体への負担は相当なものです。
腰の痛みが一過性のもので、ショートステイなどを活用して介助者が回復し、何度も繰り返し腰を痛めないようにできればよいのですが、現実にはそううまくはいきません。
長期に渡って腰を酷使すると慢性的に痛みを感じるようになり、介護どころか、介助者自身の日常生活でさえつらいものになってしまいます。持続可能な介護を行うためには、介助者であるご家族様が心身ともに健康でなければいけません。ご家族様まで共倒れになってしまう前に、在宅介護の限界を見極めるようにしましょう。
介護の負担は要介護度だけでは測れない
ご家族様にかかっている介護の負担は、要介護度だけでは測れません。要介護者の状態やご家族の状況によってそれぞれ異なるからです。要介護1や2であれば楽に介助できるわけではないのです。他の家庭と比較しないようにしましょう。
5.徘徊に関連する危険性が高い
徘徊にはさまざまな危険が伴い、家庭で見守るのには限界があります。行方不明になったり、往来の激しい道路に出て事故に遭ったりする危険があります。夏には重度の熱中症や脱水状態、冬には低体温症になるかもしれません。
いずれも、最悪の場合は命に関わる重大な事態に発展する可能性があるため、やはり24時間見守りができる老人ホームなどを検討した方がよいでしょう。
まとめ:医療も提供できる施設を選ぶ
家族による介護には限界があることを理解し、適切な支援機関に相談するのが大切です。要介護者は医療サービスも必要なケースが多いため、介護だけでなく医療も提供できる介護施設を選ぶなら、安心してご家族を預けられるでしょう。
ナーシングホーム悠ライフは、介護を必要とする入居者様の人生を第一に考えた施設であり、できる限り快適で安心できる生活-介護と医療を提供しています。介護対象者の状態に応じて、定期的な医療チェックを受けられます。
ナーシングホーム悠ライフに入居するメリット
ナーシングホーム悠ライフに入居する場合の、要介護者ご本人様にとってのメリットは次の通りです。老後の生活に関わる不安の多くを軽減できるでしょう。
家族の負担を軽減できる
介護サービスを受けられる
医療サービスを受けられる
24時間安全・快適な環境で安心して暮らせる
栄養管理が行き届いた食生活を送れる
介護施設の他の住民と交流できる
介護施設で提供される活動を楽しめる
私たちが目指すのは家族がしてあげたいと願う介護です
「最期まで世話してあげたい」という気持ちを持ちながらも、「もう限界」という心の声を感じておられませんか。もしかすると、自分を育ててくれたご両親を老人ホームに預けることに後ろめたさを感じるかもしれません。愛情が強いほどつらい決断です。
でも、重要なのは限界までご家族だけで介護を続けることではなく、ペースを保つことです。あなたが倒れてしまったら、他の誰が介護できるでしょうか。
ですから、早めの段階でプロの介護士にお任せください。その方が要介護者様の生活の質が向上し、ご家族様も安定した毎日を送れるようになります。私たちにお任せ頂ければ、介護疲れから解放され、安心して生活できるようになるのです。
私たちは家族としての目線を大切にし、ご家族がしてあげたいと願う介護を目指しています。同じように親を持つ人間として「目の前にいる人を助けたい」と思っているのです。
日々お世話をしながら少しずつ入居者の方との絆を深めて、自分の親や祖父母に対するのと同じように、人間味のあるお世話を続けてまいります。
「もっと早く相談していればよかった」というお声をよくいただきます。ご相談だけでも気持ちが楽になりますので、遠慮なくお立ち寄りください。